中務省なかつかさしょう)” の例文
この上はと、今までの秘密の裡に事件をつくろってしまおうとした方針を変えて、中務省なかつかさしょう捕吏ほりの手も借りて、洛内から近畿にいたるまで触れを出した。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも、中務省なかつかさしょう陰陽寮おんようりょうから出たお話だとすれば、きっとまた何か悪いことが起るに違いないわ。物忌ものいみおこたれば、皐月さつきと云う月にはきまってわざわいが現れるのですもの。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
天台の宗規しゅうきを破ったとか、横暴だとか、世間からも中務省なかつかさしょうの役人からも、非難されているのですから、とても、叡山えいざんなどへ、範宴はんえんさまを、お連れくださるわけはありません
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俊基は、くつかず、束帯そくたいすそ尾長鶏おながどりの尾のように曳きながら、大膳寮の横を、中務省なかつかさしょうの方へと、逃げまろんで行った。——朝堂ちょうどう八省の内門へ駈け入ろうとするのらしい。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庁の中務省なかつかさしょうへゆくまでは範宴にも分らなかったが、出頭してみると、意外にも、奏聞そうもんによって、範宴を少僧都しょうそうずの位に任じ、東山の聖光院門跡しょうこういんもんぜきせらる——というお沙汰さたであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、陰陽寮おんようりょうから、中務省なかつかさしょうのまえまで逃げた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)