丘陵おか)” の例文
丘陵おかの間を走ったり、入江のふちを走ったりしていると、一軒の家が星の下に見えました。二人はその戸を叩きました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かしの大樹に連なっている小径こみち——その向こうをだらだらと下った丘陵おかかげの一軒家、毎朝かれはそこから出てくるので、たけの低い要垣かなめがきを周囲に取りまわして、三間くらいと思われる家の構造つくり
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
間が浅い凹地くぼちになつて、浮世の廃道と謂つた様な、塵白く、石多い、通行とほり少い往還が、其底を一直線ましぐらに貫いてゐる。ふたつ丘陵おかは中腹から耕されて、なだらかな勾配を作つた畑が家々の裏口まで迫つた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
田圃のさきは低い丘陵おかでありました。二人はその丘陵おかけあがって、生い茂った林の下をくぐってむこうふもとにおりましたが、そこは入江の岸になって、みちの下には水の白い池がありました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
巍然ぎぜんたる大会堂を、村の中央まんなかの小高い丘陵おかの上に建てた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)