下賜かし)” の例文
翠竹院の号はその折、叡覧えいらんの光栄に浴したうえ、彼の本邦医学に寄与した功労をよみしたもうて、朝廷から下賜かしあらせられたものとか、都の人々も聞いている。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名香六十一種、その内三十三種は勅銘で、第一は蘭奢待らんじゃたい、これは東大寺に在る勅封の名香、昔は将軍一代に一寸四分切り取って下賜かしになる例でしたが、後世はその事さえ無くなりました。
ダイヤモンド入りの時計を下賜かしされたという事や、いたる土地ところの大歓迎のはなしや、ホテルの階段に外套がいとうを敷き、貞奴の足が触れたといって、狂気してかかえて帰ったものがあったことや
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ペエトル一世が、王女アンの結婚を祝う意味で、全国の町々に、このような小さい公園を下賜かしせられた。この東洋の金魚も、王女アンの貴い玩具であったそうな。私はこの小さい公園が好きだ。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
帝は、そうのたまいながら、みずから上の御衣を脱いで、玉帯をそれに添え、御手ずから董承に下賜かしされた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)