三歳みつつ)” の例文
私は満三歳みつつになつてぐ学校へられました。ですから遊びの方に心を引かれることが多くて、字を習ふ方のことを情けなく思つて居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
人生にはよくあることだ——ことに、子供が三歳みつつになる時分には、よくあることだ。かうも思つたけれども、しかしさうした言葉は口から出て来なかつた。
船路 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
何日もの如く三歳みつつになる女の児の帯に一条ひとすぢの紐を結び、其一端を自身の足に繋いで、危い処へやらぬ様にし、切炉きりろかたへに寝そべつて居たのが、今時計の音に真昼の夢を覚されたのであらう。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
取り亂した化粧部屋にはただひとり三歳みつつ四歳よつつの私が𢌞まはりながら何ものかを探すやうにいらいらと氣をあせつてゐた。ある拍子に、ふと薄暗い鏡の中に私は私の思ひがけない姿に衝突ぶつつかつたのである。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
三歳みつつの秋に信吉は
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
小い姉がお歌ちやんによく頼んで置いたと云つてくれませんでしたら、七歳なゝつになつて再入学をしました私は、また学校を恐がつたかも知れません。お歌ちやんは三歳みつつ位は私より大きい子供でした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ふとった三歳みつつばかりの男の児が
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)