一昨々年さきおととし)” の例文
なにしろ古い家で、奥の方はだいぶいたんでいるところへ、一昨々年さきおととしの秋の大風雨おおあらしに出逢ったので、どうしても大手入れをしなければならない。
怪獣 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あいかわらず、このていだ、といううちにも、一昨々年さきおととしまでは、台湾に一艘いっぱい帆を揚げていたんだよ。ところが土地の大有力者が、妻に横恋慕をしたと思いたまえ。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母は一昨々年さきおととしの四月頃から持病の腎臓病が悪化して、昨年の十月到頭、萎縮腎で亡なったということ。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
何で乳くさい子供の顔見て発心ほつしんが出来ませう、遊んで遊んで遊び抜いて、んで呑んで呑み尽して、家も稼業かげふもそつちけにはし一本もたぬやうに成つたは一昨々年さきおととし
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一昨々年さきおととしの九月、修禅寺の温泉に一週間ばかり遊んでいる間に、一日あるひ修禅寺に参詣さんけいして、宝物を見せてもらったところが、その中に頼家の仮面めんというものがある。
一昨年おととしか、一昨々年さきおととし、この人の筆に、かくもの優しい、たおやかな娘に、蝦蟇がまつらの「べっかっこ。」、それも一つの折檻か、知らず、悪たれ小僧のつぶてをぶつけた——悪戯いたずらを。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二日ふた晩もつづいた大風雨おおあらし……。一昨々年さきおととしの風雨もひどかったが、今度のは更にひどい。こんな大暴れは三十年振りだとかいうくらいで、町も近村もおびただしい被害でした。
怪獣 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)