一折ひとおり)” の例文
こよい汁講のある由を、どこで聞きおよびましたか、てまえまで、一折ひとおりのまんじゅうを持って、お取次ぎを仰いで参りました。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その他にも理由はいろいろあるが、あまり長くなるから略する事に致す。聞きたければ鰹節かつぶし一折ひとおりも持って習いにくるがいい、いつでも教えてやる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
去歳こぞの冬江戸庵主人画帖がじょう一折ひとおりたずさきたられ是非にも何か絵をかき句を題せよとせめ給ひければ我止む事を得ず机の側にありける桐の丸火鉢まるひばちを見てその形を写しけるが
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
はすの糸、一筋を、およそ枚数千頁に薄く織拡げて、一万枚が一折ひとおり、一百二十折を合せて一冊にじましたものでありまして、この国の微妙なる光にひらきますると、森羅万象しんらばんしょう、人類をはじめ、動植物
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)