一廻ひとまわり)” の例文
両国橋りょうごくばし新大橋しんおおはしとの間を一廻ひとまわりしたのち、長吉はいよいよ浅草あさくさの方へ帰ろうと決心するにつけ、「もしや」という一念にひかされて再び葭町の路地口に立寄って見た。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「するとわたしとは一廻ひとまわり以上違うんだね。私ゃまた精々違ってとおか十一だと思っていた」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はじめのうち一廻ひとまわりも太ったように思われてかゆさがたまらなかったが、しまいにはげっそりせたと感じられてずきずき痛んでならぬ、その上を容赦ようしゃなく歩行あるく内にも入交いりまじりにおそいおった。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)