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みぞかわ
右近衛府の
溝川のあたりにうずめるということに代えて、西の
渡殿の下から流れて出る園の川の
汀にうずめてあったのを、
惟光宰相の子の
兵衛尉が掘って持って来たのである。
菜の
花畠、
麦の畠、そらまめの花、
田境の
榛の木を
籠める
遠霞、村の
児の
小鮒を
逐廻している
溝川、
竹籬、
薮椿の落ちはららいでいる、
小禽のちらつく、何ということも無い田舎路ではあるが
譬えば
砲兵工廠の
煉瓦塀にその片側を限られた小石川の
富坂をばもう
降尽そうという左側に一筋の
溝川がある。その流れに沿うて
蒟蒻閻魔の方へと曲って行く横町なぞ
即その一例である。