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まちぜんたい
また
烟ひとつ
上がっているではなく、なにひとつ
見るようなものはありません。どの
家も
戸を
閉めきっています。まるで
町全体が、ちょうど
死んだもののように
静かでありました。
町といっても
家数の
少ない
小さなさびしい
町で、
魚問屋や、
呉服屋や、
荒物屋や、いろんな
商店がありましたが、いちばん
魚問屋が
多くあって、
町全体が
魚臭い
空気に
包まれていました。
街全体をのみつくして、かなたの
野原の
方まで、一
面に
海となってしまったのです。