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べんたうばこ
飮たる事までも今はさつぱり
分りしが餘り
咄しの出來すぎて花見は又も
廢止になり
再度遠き音羽より
辨當箱を
脊負戻せしに
幼稚意に
管伴を恨む
罪もなかりけり
……お
待ちなさりまし、
晝間の
辨當箱が
開いて
居ります、
洗つて
一番、
其れへ
汲出して
差上げませう。
長吉は
釣師の一人が
握飯を食ひはじめたのを見て、同じやうに
弁当箱を開いた。開いたけれども
何だか
気まりが悪くて、
誰か見てゐやしないかときよろ/\
四辺を
見𢌞した。