“すいらん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
翠巒70.6%
水欄11.8%
翆巒5.9%
翠嵐5.9%
翠藍5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あけてある北側の窓からは、なるほど筑波の翠巒すいらんが一望で、宿の主人の心くばりのこまかさがよく感じられた。
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
流れにのぞむ広間の水欄すいらんには、ちらほら、参会者の顔も見えはじめ、思い思いな水鳥の群れに似た幾組かを、ここかしこに作りあっていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翆巒すいらん峭壁を掩う下に、銀鱗を追う趣は、南画の画材に髣髴ほうふつとしている。
香魚の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
鬱蒼うっそうとした其処ここの杉柏さんぱくの梢からは、烟霧えんむのような翠嵐すいらんが起って、細い雨が明い日光にすかられた。思いもかけない山麓さんろくの傾斜面にせた田畑があったり、厚い薮畳やぶだたみの蔭に、人家があったりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
にしきとばり翠藍すいらんうちに、銀の皿の燈明は、天地の一白に凝って、紫の油、朱燈心、火尖ほさき金色こんじきの光を放って、三つ二つひらひらと動く時、大池の波は、さながら白蓮華びゃくれんげを競って咲いた。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)