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きくとじ
渡辺源三競の滝口、出陣の出立は、
狂紋の
狩衣に大きな
菊綴、先祖代々伝わる所の
着長緋縅の
鎧、
兜は銀の星をいただいている。
風折烏帽子に
紫の
懸緒を着けたに負けない気で、
此大島守は、
紺染の
鎧直垂の下に、白き
菊綴なして、上には紫の陣羽織。
また此の、品川で、陣羽織
菊綴で、
風折烏帽子紫の
懸緒に
張合つた次第を聞いて、——例の天下の
博士めが、(遊ばされたり、
老生も一度
其の御扮装を拝見。)
何と、
雪白裸身の美女を、
梢に
的にした
面影であらうな。松平大島守
源の
何某、矢の根にしるして、例の
菊綴、
葵の
紋服、きり/\と絞つて、
兵と
射たが、射た、が。射たが、
薩張当らぬ。