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かもつじどうしゃ
雲切れのした、でこぼこのある
田舎道を
貨物自動車は、ちょうど
酔っぱらいの
人の
足どりのように、
躍りながら、ガタビシといわせて
走っていたのでした。
このとき、一
台の
貨物自動車が、
会社の
門から
出て、
町を
過ぎ、ある
田舎道にさしかかったのであります。
車の
上には、
世帯道具がうずたかく
積まれていました。
おじいさんは、
新しい
着物にきかえて、
自分のいままで
身につけていた
半纒や、
股引きや、
破れた
帽子をひとまとめにして、そばにあった、
貨物自動車の
荷の
上に
乗せておきました。