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うえごみ
怖い恐ろしいも忘れて
檜の
植込の
一叢茂る藪の中へ身を縮め、息をこらして
匿れて居りますと、顔を包んだ侍が大小を
落差にいたして、尻からげに
草履を
穿いたなり、つか/\/\と参り
露時雨夜ごとにしげくなり行くほどに落葉朽ち腐るる
植込のかげよりは絶えず土の
香薫じて、
鶺鴒四十雀藪鶯なぞ小鳥の声は春にもまして
賑し。
紙漉橋の袂に鉄砲垣を折り
回して、
生節の冠木を見越しの
雑裁の
林樾を深く(中略)春は塀外の桜、庭も
狭に散り込みて、打延る両岸の枝頭の色は大曲の
垠まで一目に
残余無く