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いひはり
申し金子の出所不定に御座候
間百兩の金は文右衞門が
盜み
取しに相違御座なく候と
云張しかば越前守殿
聲高によく承まはれ
汝は何程
辯を
見捨て出行たる女なれば
持參金道具は
勿論離縁状まで出す事はならぬと
云張誠に
困り
果たる
故其
儘捨ても置れず
故意々々出府して
自身掛合處に
聟は
大馬鹿なり
舅の五兵衞は何日行ても一寸とも
會ず唯店の久兵衞と云者ばかり一人彼是云て何れにも
埓が
明ず尤も向うが何樣に
惡敷とも親亭主を