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あやにく
苦悶の上また苦悶あり、一の苦悶を愈さんとすれば、
生憎に他の苦悶来り、
妾や今実に苦悶の
合囲の内にあるなり。
彼は
俄に
立止って声する
方を
透し
視たが、
生憎に暗いので正体は判らぬ。更に耳を
澄して窺うと、声は
一人でない、
尠くも
二人以上の人が倒れて
苦んでいるらしい。
ヤッサモッサ
捏返している所へ
生憎な来客、しかも
名打の
長尻で、アノ
只今から団子坂へ参ろうと存じて、という言葉にまで
力瘤を入れて見ても、まや薬ほども
利かず