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あとくら
廓にて
若い者と云私し宅に五ヶ年の間
相勤めます中少しも
後暗きこともなく實に
正直正路の者なりと言ければ大岡殿は其傳吉事
奉公中給金其外にて百五十兩程
貯其元へ預け歸國の節
持返りしと申が然樣成や四郎左衞門如何にも五ヶ年の内に
私しへ百廿兩
預け置歸國の
節其金を
掘出し
其段早速役所へ屆け出づべきに
然は
無して自分方に
隱置其方一
個の得分に致さんとの
心底侍にも似合ず
後闇き致し方にて重々不屆に
思召さる
依て相當の
御咎をも仰せ付らるべきを