また)” の例文
しかして今度の戦争前に在っては、そのアイルランド自治問題について、また上下両院相反撥しておったこと、人の知るところである。
既になし遂げられた生活は——縦令たといそれが本能的生活であっても——なし遂げられた生活である。その形はまた変易へんえきすることがない。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ここに於て守る者便べんを得、連夜水をみて城壁にそそげば、天寒くしてたちまち氷結し、明日に至ればまた登ることを得ざるが如きことありき。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ために、かかる珍奇なる夢中遊行特有の怪奇なる行動の詳細に亘りて推測するあたわざるものあるはまたやむを得ざる遺憾事と言うべし。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また見て居たの……といつたは其の所為せいで、私は何の気もなかつたのであるが、これを聞くと、目をぱつちりあけたが顔をあからめ
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
初めてぐううしのうて鰥居無聊かんきょむりょうまたでて遊ばず、ただ門につて佇立ちょりつするのみ。十五こう尽きて遊人ゆうじんようやまれなり。丫鬟あかんを見る。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
只今の迫合にきずを蒙りてまた戦うこと成り難し。然る故、貴殿の蒐引かけひきに妨げならんと存じ人衆を脇に引取候。かくして横を討たんずる勢いを
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
お前さんの事を朝晩忘れた事はありません…また奉公に参りますまでも一旦は帰りとうございますから何卒どうぞお暇を戴いて下さいまし
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
午餐ひる勘次かんじもどつて、また口中こうちう粗剛こは飯粒めしつぶみながらはしつたあと與吉よきち鼻緒はなをゆるんだ下駄げたをから/\ときずつて學校がくかうからかへつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一度誤つて近けばたちまち陥つてまた救ふべからざるに至るのおそれなからんか。厳に過ぐるの弊寛に流るるの弊に比して決して小なりといふを得んや。
猥褻独問答 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
(此新聞は其儘休刊が続いて、十二月になつて北海道新聞と改題して出たが、間もなくまた休刊。今は出てるかうか知らぬ。)
粥二碗、汁二椀、芋二皿、鮭の乾肉ことごとく喰ひつくして膳の上また一物なし。クレオソート三袋。自ら梨一個をいで喰ふ。しんみ皮を吸ふ。
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
二千九百二十米の峰から少し下るとまた上りとなって、角張った大岩の斜面を六十米許り攀じ登り、狭い峰頂の三角点に達した。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
ついしか、こんな言いつけをしたことのない郎女の、性急な命令に驚いて、女たちはまた、何か事の起るのではないか、とおどおどして居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
屹度きつともなくおなほりでせう。』と、ニキタはまたふてアンドレイ、エヒミチの脱捨ぬぎすてふく一纏ひとまとめにして、小腋こわきかかへたまゝてゝく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
白樺の小い林などを時時見るやうになつた。三日目の朝にまた國境の驛で旅行券や手荷物を調べられた。午後に私の室へ一人の相客が入つて來た。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
すると雪枝はまた笑って青年の方へ走り寄ったが両手を前へ差し出すと青年を軽々と抱き上げて温室の中へ這入って行った。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白樺のちさい林などを時時ときどき見るやうになつた。三日みつか目の朝にまた国境の駅で旅行券や手荷物を調べられた。午後に私の室へ一人の相客がはひつて来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
年季職人ねんきしよくにんたいを組みて喧鬨けうがうめに蟻集ぎしうするに過ぎずとか申せば、多分たぶんかくごと壮快さうくわいなる滑稽こつけいまたと見るあたはざるべしと小生せうせい存候ぞんじそろ(一七日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
「難有うごわす。ええ、ぷ、わしは今夜芸者……を買って、四五円くれて了った。また、私はこれから行って、……そ、そ、その、飲もうというんで」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「今や支那分割の勢既に成りてまた動かすべからず。我が日本の之に対する、如何にせば可ならん。全く分割にあずからざらんか。進みて分割に与らんか」
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「驚ろくうちはたのしみがある。女は仕合せなものだ」と再び人込ひとごみへ出た時、何を思ったか甲野さんはまた前言を繰り返した。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
隋の煬帝ようだい我が国書を見て悦ばず、鴻臚卿こうろけいに命じて曰く、「蛮夷の書礼なきものあらば、また以て聞する勿れ」とある。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
その甲申の歳に神辺かんなべにゐた子彦なることはまた疑を容れない。藤某は恐くは佐藤一斎であらう。「嘗居菅子家。詞藻摘花粋。近入藤翁門。道機披帳秘。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
われここを去つて、また、歸り來る時、たしかにこの夜を思ひ起すであらう。椰子の樹の長髮が眼に殘つてゐる。
椰子の樹 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
声は老人かと思はれる太い寂びた声で、安達ヶ原とか言ふのの一節を、くり返しくり返し謡ふのであつた。旅僧が野に行き暮れた述懐は、誰もまたかと思つて聞いた。
秋の第一日 (新字旧仮名) / 窪田空穂(著)
不思議のローマンチックに自分は蘇生よみがえって、またも真昼の暖かいみちを曲りまがってく……、しかし一ぺんとらわれた幻影から、ドウしても私は離れることはきない
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
師門の授受の如きに至りては、膠固かうもとより已に深し。既に自ら是として人非とし、また見ることまれにして怪しむこと多ければ、之を非とせんと欲するも未だかつて縄尺じようしやくそむかず。
文芸鑑賞講座 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかして世人も漸くその事の真相を知るに至ればまた一時の狂呼に任すべからざるを解するなり。
史論の流行 (新字旧仮名) / 津田左右吉(著)
声は少しさびのある高調子で、なまりのない東京弁だった。かなり、辛辣しんらつな取調べに対して、色は蒼白あおざめながらも、割合に冷静に、平気らしく答弁するのが、また、署長を苛立いらだたせた。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
なんとせんみち間違まちがへたり引返ひきかへしてとまた跡戻あともどり、大路おほぢいづれば小路こうぢらせ小路こうぢぬひては大路おほぢそう幾走いくそうてん幾轉いくてんたつゆきわだちのあとながひきてめぐりいづればまた以前いぜんみちなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゞ街道がいだう郷村きやうぞん児童ぢどう年十五八九已上におよものおの/\柳の枝を取り皮を木刀ぼくたう彫成きざみなし、皮を以またほか刀上たうしやうまと用火ひにて焼黒やきくろめ皮をもつて黒白のもやうわかつ、名づけて荷花蘭蜜こばらみといふ。
我は神となりたらん心地にてくすしくとうとくも覚ゆれど余りのすさまじさに得も留まらでまたもと来し岩をじて登り来る。衣は雨に濡れたらんが如し。茶店にて裸なりて乾す。
滝見の旅 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
二七一 我は唯禁戒を持ち、或はまた多く學び、又は心の安定を得、或は閑靜處に住みて
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
又非 無楽復無憂 しきに非ず又くうに非ず、楽無くまたうれい無し
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
三十年後の今日迄こんにちまで依然として其の色を変ぜざるのみか、一度ひとたびやまと新聞に写し植字うえたるに、また時期に粟田口あわだぐち鋭き作意と笛竹ふえたけの響き渡り、あたか船人せんどうの山に登るべき高評なりしを
勝ちて相問うことを得ず、天鈿女あまのうずめすなわちその胸乳むなぢあらわにかきいでて、裳帯もひもを臍の下におしたれて、咲噱あざわらいて向きて立つ〉、その名を問うて猿田彦大神なるを知り、〈鈿女また問いて曰く
宮は猶脱なほのがるるほどに、帯はたちまけてあしまとふを、右に左に踢払けはらひつつ、つまづきては進み、行きてはよろめき、彼もはや力はきたりと見えながら、如何いかん、其処そこに伏してまた起きざる時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
黒雲空を蔽ひて、海面には暗緑なる大波を起し、潮水倒立して一條の巨柱を成せり。須臾しゆゆにして雲をさまり月清く、海面またた平かになりぬ。されど小舟は見えざりき。彼漁父の子も亦あらずなりぬ。
然しあの黄ばんで、戰いて散りこぼれた月日の落葉は一體どうなつたのだらう。遠い、遠い、未知不可思議のいかなる世界へ、永久に持ちゆかれて了つたのか。誰もこれをまたたことが無いからだ。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
凡てが小生にはまたと得難いかなしい省察の時を与へて呉れました。
わが敬愛する人々に (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さても今またフランスは、アラビヤの、都督をちて誇れるも……
そこで、また、あたしは失笑ふきだして、いてた。
亡者乙 一ぺん死殿またゐん天下狼狽居士らうばいこじ
お政はまた新聞に取掛ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
五体安んぜず、また談笑なく
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余ヤ土陽僻陬どようへきすうノ郷ニ生レ幼時早ク我父母ヲうしなヒ後初メテ学ノ門ニ入リ好ンデ草木ノ事ヲおさまた歳華さいかノ改マルヲ知ラズ其間斯学ノタメニハ我父祖ノ業ヲ廃シ我世襲せしゅうノ産ヲ傾ケ今ハ既ニ貧富地ヲ疇昔ちゅうせき煖飽だんぽうハ亦いずレノ辺ニカ在ル蟋蟀こおろぎ鳴キテ妻子ハ其衣ノ薄キヲ訴ヘ米櫃べいき乏ヲ告ゲテ釜中ふちゅう時ニ魚ヲ生ズ心情紛々いずくんゾ俗塵ノ外ニ超然ちょうぜんタルヲ
泥沼氣が立つ地や、瘴氣の多い地も、亦また地状の之をして然らしむるのであるから、古ならば地の氣が何々であると云ふのであらう。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これも何者かに命ぜられてかく入つて居るらしい、起してはならないやうに思はれ、アヽまた横になつて、足をかがめて、目をふさいだ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
漢語は延宝えんぽう天和てんなの間其角きかく一派が濫用してついにその調和を得ず、其角すらこれより後、また用ゐざりしもの、蕪村に至りてはじめて成功を得たり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)