根性こんじやう)” の例文
此方こつちから算盤そろばんはじいて、この土地とち人間にんげん根性こんじやうかぞへてやると泥棒どろぼう乞食こじきくはへて、それをふたつにつたやうなものだなう。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
最も貧困なものが人の軒に立つて物乞ひするを恥ぢないと同じ根性こんじやうだ。自分の面目を忘れてしまふ樣に、子供の爲めに亭主の存在を無視するのだ。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
矛盾のゴミの吸ひかげんで、運のいゝ奴と、運の悪い奴が出来て来る。——海防ハイフォンだつて、あの船出についちやア、随分厭な根性こんじやうやつがゐたぢやないか。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
黙つて取つて食ふやうなものは、泥棒だぞい——盗人ぬすツとだぞい——ちよツ、何処へでも勝手に行つて了へ、其様そん根性こんじやうの奴は最早もう母さんの子ぢやねえから。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
俊男は其のさかしい頭が氣にはぬ。また見たところ柔和にうわらしいのにも似ず、案外あんぐわい理屈りくつツぽいのと根性こんじやうぽねの太いのがにくい。で、ギロリ、其の横顏をにらめ付けて
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
私やそんなに長吉ちやうきち根性こんじやうくさつちまツたのかと思つたら、もうじつ口惜くやしくツてならないんですよ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
私の心のち切りながら、あなたは、私の惡い根性こんじやう根絶ねだやしするとばかり思つていらつしやる。
貰ふとは申さぬと云れて左仲は力身りきみけ齒の根も合ずくづ/\と是非なく懷中より金百兩のつゝみを取出し盜賊に渡せば是々夫ではまぬ惡ひ根性こんじやうかく直段ねだんの極つて居る者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「君等に大人たいじんの心がわかつてたまるものか」と村井はくわつ一睨いちげいせり「泥棒の用心するのは、必竟つまり自分に泥棒根性こんじやうがあるからだ、世に悪人なるものなしと云ふのが先生の宗教だ、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そんだがあんときにやかゝあ可哀相かはいさうなことしたな世間せけん奴等やつら卯平うへいかゝあとつつかれべえなんちから心配しんぺえすんなつてつたんだな、そんだが根性こんじやうねえから、心配しんぺえするもな大嫌だえきれえだ、それ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
けないといふはいゝことで、あれでくてはむづかしいことりのけるわけにはかぬ、ぐにや/\やはらかい根性こんじやうばかりでは何時いつひと海鼠なまこのやうだとおつしやるおかたもありまするけれど
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
獄中にゐる清吉の面倒をみながら、富岡は、女一人を殺した清吉の真面目さに打たれ、自分の贋物的にせものてき根性こんじやうが、吐気はきけのするほど厭に見えて来るのであつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「この野郎!」川崎は重い碁盤をはねのけ、氷峰の膝に迫り行き、「お前はけちな雇ひ人根性こんじやうでをるのか?」
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
そりや女の驕慢けうまん根性こんじやうに對する自然の制裁せいさいさ。ところで嬰兒あかんぼに乳を飮ませるのがえらいかといふに、犬の母だツて小犬を育てるのだから、これも自慢じまんにはならん。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とがめるに及ばぬとおつしやつたお言葉が、ヒシと私の胸をさしましたの、して見ると私などでも余り世間を怨んで、ヒガミ根性こんじやうばかり起さんでも、是れからの心の持ち様一つでは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
這入はひりながらオイ/\貴樣はいさましき根性こんじやうだな日々一文づつ貰ひ居ながら稻葉丹後守樣の御屋敷へまかいづるなどとあま口巾くちはゞツたきことを云ものかなと大いにわらひつゝ文右衞門の容體なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
根性こんじやうねぢれてつからだあ、晩稻おくいねつくんなつちのに」女房にようばう一人ひとりまたいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「あの野郎がまだ目をさまさないから」と、婆アさんはからだを起し、「今、根性こんじやうをつけてやらうとして。」
「ま、何處どこまで根性こんじやうがねぢくれてゐるのでせう。」と思ひながら、近子はちらと白い眼をひらめかせ、ブイと茶の間の方へ行ツてしまツた。遂々とう/\むかツぱらを立てゝしまツたので。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
内地の習慣が、遠い地に来てゐても、富岡の日本人根性こんじやうをおびえさせてゐるのだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
らがな無垢むくつええのがだから、いや本當ほんたうだよ、卯平等うへいら仕事しごとぢやつをかつたが、そりやつええとも、そんだが根性こんじやうやくざだから、疫病やくびやうくつゝいて太儀こはくつてやうねえなんて、それから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
成程此の事じや、其様に阿父を憎むことは出來ないて!………俺だつて親になるかも知れんのだからな。だが人間と云ふやつは、親になると、何うして其處そんな勝手な根性こんじやうになるんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)