てう)” の例文
てうはポオト・サイドに着き、出帆までにわづかに余された二時間を利用して港にあがつた。コロムボ以来十三日目に土を踏むのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
どうかふだんの君のやうに、怒髪どはつを天にてうせしめると同時に、内心は君の放つた矢は確かに手答へのあつたことを満足に思つてくれ給へ。
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
こときふにして掩避おほひさくるに不及およばず諸客しよきやくこれて、(無不掩口くちをおほはざるはなし。)からでは、こんなとき無不掩口くちをおほはざるはなし。)だとえる。てうにてはうするか、未考いまだかんがへずである。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さけ時節じせつにて、小千谷をぢや前川ぜんせんは海にてうするの大河なれば今とりしをすぐに庖丁はうちやうす。あぢはひ江戸にまされり。一日さけをてんぷらといふ物にしていだせり。
中村不折氏が子供の寄木細工よせぎざいくのやうな文字を書いて、「六てうだ、六朝だ。字は何でもかう書かなくつちや。」
しかも、家門は世々衰微をたどるのみか、北条が悪政は、いよいよ民をくるしめ、てうを悩ましたてまつる。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岩代の燧岳ひうちたけ、越後のこまたけ、八海山等皆巍然ぎぜんとして天にてうし、利根水源たる大刀根岳は之と相拮抗きつこうして其高きをあらさふ、越後岩代の地方に於てはけつしてゆきを見ざるに
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
しかうして諸矦しよこうせいてうす。せい威王ゐわう大夫たいふをして古者いにしへ司馬しば兵法へいはふ(三五)追論つゐろんせしめ、しかうして穰苴じやうしよ((ノ兵法))を其中そのうちけ、つてがうして司馬穰苴しばじやうしよ兵法へいはふふ。
然らずんば奸臣てうに満ち、乾綱けんかうひもを解き、内憂外患こも/″\至り、かの衰亡の幕府とえらぶなきに至らむ。於是乎こゝにおいてか、憂国之士、奮然蹶起けつきして、奸邪を芟夷さんいし、孑遺げつゐなきを期すべし。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
稽古の窓に向つて三諦止觀さんたいしくわんの月を樂める身も、一てう折りかへす花染はなぞめ幾年いくとせ行業かうげふを捨てし人、百夜もゝよしぢ端書はしがきにつれなき君を怨みわびて、亂れくるし忍草しのぶぐさの露と消えにし人
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
來りてうする宇内うだいの群山に接するの光景は、いかにわがあくがれ易き心を動かしたりけむ。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
秋は室町のてう、やむごとなき人々が琴を弾じ或はしほり戸に凭りて遠く想ひを笛に寄せては、十五夜の宵の宴に興たけて、更けるも知らず歌を吟じたのも、やつぱり直ぐそこに見ゆる
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
是迄これまで虚心きよしん平氣へいきで、健全けんぜんろんじてゐたが、一てう生活せいくわつ逆流ぎやくりうるゝや、たゞちくじけて落膽らくたんしづんでしまつた……意氣地いくぢい……人間にんげん意氣地いくぢいものです、貴方あなたとても猶且やはりうでせう
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それ聖代せいだいには麟鳳りんほう來儀らいぎ仁君じんくんの代には賢臣けんしんあつまるとうべなるかな我がてう徳川とくがは八代將軍有徳院殿いうとくゐんでんの御代に八賢士あり土屋相摸守つちやさがみのかみ松平右近將監まつだひらうこんしやうげん加納遠江守かなふとほたふみのかみ小笠原若狹守をがさはらわかさのかみ水野山城守みづのやましろのかみ堀田相摸守ほつたさがみのかみ大岡越前守おほをかゑちぜんのかみ神尾若狹守かんをわかさのかみ是なり然るに其有徳院殿の御代享保きやうほ二年大岡越前守町奉行ぶぎやうと成始めて工夫のさばきあり其原因を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翁の夫人に会ふことを得なかつたが、翌てう翁と夫人から鄭重な礼状を受け取つた。夫人に捧げた日本の織物に対してである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
自分なぞはそれも怠つてゐるが、ドオデエには確か夢の手記があつた。わがてうでは志賀直哉しがなほや氏に、「イヅク川」と云ふ好小品がある。(十月二十五日)
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さけ時節じせつにて、小千谷をぢや前川ぜんせんは海にてうするの大河なれば今とりしをすぐに庖丁はうちやうす。あぢはひ江戸にまされり。一日さけをてんぷらといふ物にしていだせり。
何事もひとの云ふ事にはつんぼで、加之おまけ独断ひとりきめの好きな不折氏も、これだけは合点がかなかつた。で、お客の顔さへ見ると、六てう文字のやうに肩を変な恰好に歪めて
白川橋三条大橋三条小橋を経て押小路柳馬場島本三郎九郎の家に至る。(長崎宿というて江戸の長崎屋源右衛門大阪の為川辰吉みな同じ。)日正辰時なり。撫院はてうせり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いま幾干いくばくならざるに、昌黎しやうれいてう佛骨ぶつこつへうたてまつるにり、潮州てうしうながされぬ。八千はつせんみちみちれんとしたま/\ゆきる。晦冥陰慘くわいめいいんさんくもつめたく、かぜさむく、征衣せいいわづかくろくしてかみたちましろし。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
四面の峻岳しゆんがく皆頭をあらはし、昨来わたきたれる利根の水流は蜿蜒えん/\として幽谷間に白練をけり、白練の尽くる所は乃ち大利根岳となり突兀とつとつ天にてうす、其壮絶ほとんど言語につくすべからず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
てうるや、(三九)きみこれおよべばすなは(四〇)げんたかくし、これおよばざればすなは(四一)おこなひたかくす。くにみちればすなは(四二)めいしたがひ、みちければすなは(四三)めいはかる。
どうしてさう斷定できるかといへば、數千年の社會の變革によつて、前に述べたやうな、無數の祖先は、てうにあつて權を執つたこともあらうし、に下つて庶民の下層にかくれたこともあらう。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
きはめてお光に向ひ夫は道理もつともなる次第なれども一てうせきの事ならず假令證據しようこ人の有ればとて周章あわてねがふ事がらならず殊に北の御番所にて先年せんねん裁許濟さいきよずみに成し事故今更兎や角申立るとも入費倒にふひたふれにてむだ事に成も知れず云ば證文の出しおくれなり夫より最早もはやをつと道十郎殿の事は前世よりの因縁いんえん斷念あきらめられ紀念かたみの道之助殿の成長を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此処ここから偶然同船して帰朝する安達大使館参事官と、その夫人と、船の加藤事務長とにかれの事を頼んで置いて、僕は翌てう六時に平野丸を見捨てた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
中に「王」と云ふ姓の多いのが目に附く。何れかのてうの帝王の子孫なのであらうと気の毒な気がしないでもない。
わがてうの元禄ごろの髪結ひて吉林の町練るは誰が子ぞ