景氣けいき)” の例文
新字:景気
可愛かはいさうに景氣けいきのよいこゑ肺臟はいざうからこゑいたのは十ねんぶりのやうながして、自分じぶんおもはず立上たちあがつた。れば友人いうじんM君エムくんである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あたまにほひのするあぶらられて、景氣けいきのいゝこゑうしろからけられて、おもてたときは、それでも清々せい/\した心持こゝろもちであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
明進軒めいしんけん島金しまきん飛上とびあがつて常磐ときは(はこがはひる)とところを、奴等やつら近頃ちかごろ景氣けいきでは——蛉鍋はまなべと……あたりがついた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
休日毎きうじつごとさそひに幻花子げんくわしつてられず。今日けふ望生ぼうせい翌日あす活子くわつしあるひは三にんそろつてうちに、土偶どぐうあしる。小土器せうどきる。大分だいぶ景氣けいきいてた。
なか金解禁きんかいきん出來できたならば、經濟界けいざいかいに一景氣けいきはしないかとひとがあるが、それはすなは過去くわこ箇月かげつかん爲替相場かはせさうばあがために、したがつ物價ぶつかさがため
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
みせは二けん間口まぐちの二かいづくり、のきには御神燈ごしんとうさげてじほ景氣けいきよく、空壜あきびんなにらず、銘酒めいしゆあまたたなうへにならべて帳塲ちようばめきたるところもみゆ、勝手元かつてもとには七りんあほおと折々をり/\さわがしく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
砂金しやきんの波の光を漂はせて、豪勢がうせい景氣けいきだつた日光は
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
なるほど外部ぐわいぶからひと生活状態せいくわつじやうたいると至極しごく景氣けいきいやうにえるけれども其状態そのじやうたいがどれだけつゞくかとふことをかんがへてると、到底たうていながつゞるものではない。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
愉快ゆくわい! 電車でんしや景氣けいきよくはしす、函嶺はこね諸峰しよほうおくゆかしく、おごそかに、おもてあつしてちかづいてる! かるい、淡々あは/\しいくもおきなるうみうへたゞよふてる、かもめぶ、なみくだける
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くのがおもしろいから「やい、いてらい!」なんて、景氣けいきのいゝことをいつて見物けんぶつしてる。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宗助そうすけ例刻れいこくかへつてた。神田かんだとほりで、門並かどなみはたてゝ、もうくれ賣出うりだしをはじめたことだの、勸工場くわんこうば紅白こうはくまくつて樂隊がくたい景氣けいきけさしてゐることだのをはなししたすゑ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さわればゆるくもいとのはかないところひとはなかりき、七月十六日の何處どこみせにも客人きやくじん入込いりこみて都々どゝ端歌はうた景氣けいきよく、きく下座敷したざしきにはお店者たなもの五六人寄集よりあつまりて調子てうしはづれし紀伊きいくに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金澤かなざは正月しやうぐわつは、お買初かひぞめ、お買初かひぞめの景氣けいきこゑにてはじまる。初買はつがひなり。二日ふつか夜中よなかよりいでつ。元日ぐわんじつなん商賣しやうばいみなやすむ。初買はつがひとききそつて紅鯛べにだひとて縁起えんぎものをふ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これ餘計よけいものへば内地ないちからきんく、外國ぐわいこく餘計よけいものれば外國ぐわいこくからきん這入はひつて日本にほん通貨つうくわえる、さうして景氣けいき恢復くわいふくする、ふことはすなは金本位きんほんゐ當然たうぜん結果けつくわである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
『ヤア、これはめづらしいところで』と景氣けいきよくこゑをかけてはひつものがある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
三味さみ景氣けいきよくきこえて亂舞らんぶ足音あしおとこれよりぞきこそめぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三社樣さんじやさま御神輿おみこしが、芳原よしはらわたつたときであつた。なかちやうで、ある引手茶屋ひきてぢやや女房にようばうの、ひさしくわづらつてたのが、まつり景氣けいきやつきて、ほのかうれしさうに、しかし悄乎しよんぼり店先みせさきたゝずんだ。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
東京とうきやうかね——番町ばんちやう——海水浴かいすゐよく避暑ひしよにくるひとはありませんかな。……この景氣けいきだから、今年ことし勉強べんきやうぢやよ。八疊はちでふ十疊じふでふ眞新まあたらしいので、百五十圓ひやくごじふゑんところひやく勉強べんきやうするですわい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちつゞく惡鬼あくきばらひ、をくあつする黒雲くろくもをぬぐつて、景氣けいきなほしに「明月めいげつ」も、しかし沙汰さたぎるから、せめて「良夜りやうや」とでもだいして、小篇せうへんを、とおもふうちに……四五人しごにんのおきやくがあつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あま眞面目まじめだからわらひもならない。「まあ、落着おちつきたまへ。——景氣けいきづけに一杯いつぱい。」「いゝえ、かへります。——成程なるほどねこ屋根やねづたひをして、まどのぞかないものとはかぎりません。——わかりました。 ...
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)