龍巻たつまき)” の例文
新字:竜巻
龍巻たつまきは二、三ど、両手で口をかこって、遠声をおくった。そしてこんどは、足もとから鳥が立つように、あたりの手下をせきたてた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いろいろと私はその始末にいて思案したが、結局龍巻たつまき村の藤屋氏のもとに運んで保存をうより他は道はなかった。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
勿論もちろん県道の西側は田圃たんぼと畑ばかりだが、それが大陸的な起伏のにぶい龍田山のふもとにつづいていて、ひくい冬空の下にらッ風が出ると、県道筋の白いほこり龍巻たつまきのように
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
ただひとつの手がかりは、当日の九つ半ごろに酒屋の小僧が浜町河岸を通りかかると、今まで晴れていた空がたちまち暗くなって、俗に龍巻たつまきという凄まじい旋風つむじかぜが吹き起った。
異妖編 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この利慾のふかい武士へ、伊那丸いなまるというえさをもってりにきたのは、いうまでもなく、武士にけているが、八幡船ばはんせん龍巻たつまきであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いっぽう、捕手とりてにかこまれて、引ッ立てられた龍巻たつまきは、このていをみると、あたりの者をはねとばして、形相ぎょうそうすごく、民蔵たみぞうのそばへかけよった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)