鹹湖かんこ)” の例文
またそこを、鹹湖かんこ青海ココ・ノール」あたりの蒙古人は Kuso-Bhakator-Norクーゾ・バカトル・ノール——すなわち、「英雄のゆく墓海」と称している。
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
クルック・タグの山麓さんろくには、海面下千フィートの深地がある。かつての鹹湖かんこは今は大部分涸渇こかつして、塩床のけわしい砂礫地されきちである。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それはあるいは今から五、六十万年あるいは百万年を数えるかも知れません、その頃今の北上の平原にあたるところは、細長い入海か鹹湖かんこで、その水は割合わりあいあさ
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
紺青の外洋から船が港に近づくにつれ、白味をおびた碧緑色の鹹湖かんこを抱く島の形があらわになり、海底に菊の花のような珊瑚礁が透けて見えた。彼は、胸をわななかせて上陸した。
蒐集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
暗黒と光明の前表は、鹹湖かんこにも、多島海にも、路傍の沼にも、それこそ、まるで水草の花のように浮かんで、なよなよと人の採取を待つことになった。これは、つまりは星が映っていたのだ。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)