鶏小屋とりごや)” の例文
と云うと、わっと吶喊ときを上げて、垣根の陰へ隠れたが、直ぐにむらむらと出て、鶏小屋とりごやの前で、健ちゃんは素飛すっとぶ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
暫く沈黙が続いた後、俊吉は静に眼を返して、「鶏小屋とりごやへ行つて見ようか。」と云つた。信子は黙つてうなづいた。鶏小屋は丁度檜とは反対の庭の隅にあつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
イカバッドがこそこそと出てきたときの様子は、鶏小屋とりごやへ鶏を盗みに行ってきたようで、とうてい美しい婦人の心をうばいに行ってきたようには見えなかったのである。
鶏小屋とりごやに大きな青大将が入って、模型卵もけいらんをのんだ、と日傭ひようのおかみが知らして来た。往って見ると、五尺もある青大将が喉元のどもとふくらして、そこらをのたうちまわって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
... 知らないと折角せっかくの御馳走を不味まずくするね」小山「実にそうだよ、僕は今まで新鮮なものほど良いと思った。鶏小屋とりごやから持って来たのを直ぐ料理する位が美味おいしいと思った。物を ...
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そのかわりに今雛鳥ひなどりを二羽、宿の裏手の鶏小屋とりごやの片すみのおりに養っている。それを時おり池へ連れて来ては遊泳の練習をさせている。もう少し大きくなったら放養するのだという。
沓掛より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
戸、まどの限りをけ、それから鶏小屋とりごや開闢かいびゃく
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
第三百三十三 鶏小屋とりごや
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)