鵠沼くげぬま)” の例文
岸田君は余りそんなことをしている中に胸を悪くし、鵠沼くげぬまに引込んで仕事をしていたが、その頃から岸田君の仕事は本当の画になって来たように思う。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
或秋の午頃ひるごろ、僕は東京から遊びに来た大学生のK君と一しょに蜃気楼しんきろうを見に出かけて行った。鵠沼くげぬまの海岸に蜃気楼の見えることはたれでももう知っているであろう。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
およソ半年ホドヲ鵠沼くげぬまニ辛棒シテオリマシタガ、無論ドットネテイルトイウデハアリマセズ、ソレガカエッテ苦痛デハアリマスガ、昨今デハマズマズ健康ニチカイ方デス
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
その人、奥さんと鵠沼くげぬまにいますけれど、ちょっといい暮しよ。奥さんも教養のある人よ。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのころ私は鵠沼くげぬまに住んでいた関係で、あまりたびたび木曜会には顔を出さなかったし、またたまに訪れて行った時にはその連中が来ていないというわけで、漱石生前には一度も同座しなかった。
漱石の人物 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ここは湘南鵠沼くげぬまの海岸、中村庄右衛門という老子爵の別荘である。
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
鵠沼くげぬま、橋本邸。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
僕は鵠沼くげぬま東屋あづまやの二階にぢつと仰向あふむけに寝ころんでゐた。その又僕の枕もとにはつま伯母をばとが差向ひに庭の向うの海を見てゐた。僕は目をつぶつたまま、「今に雨がふるぞ」と言つた。
鵠沼雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これは前にも書いたやうに作歌上の素人しろうと談義たるのみならず、古木こき君を前にして書いたもの故、読者も余りてにせずに一読過されんことを希望してゐる。(十五・五・二十四・鵠沼くげぬまにて)
又一説? (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「きのう伯母おばさんやおばあさんとみんな鵠沼くげぬまへやりました。」
死後 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(大正十五年四月十三日鵠沼くげぬまにて浄書)〔遺稿〕
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
(十五・十・十一鵠沼くげぬま
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)