鳴滝なるたき)” の例文
城松という盲人は、鳴滝なるたきの下でしょうを吹くと、人ただ簫声あるを聞いて、瀑声あるを聞かなかったそうであります。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これから武蔵へかかる山境やまざかいは、姥子うばこ鳴滝なるたき大菩薩だいぼさつ小仏こぼとけ御岳みたけ、四やままた山を見るばかりの道である。すきな子供のむれに取りまかれることがいたってまれだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳴滝なるたきや庭なめらかに椿ちる伯母の御寺のうぐひすのこゑ
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その取落した猪口を拾い取ると、何と思ったか、力を極めて、それを室のたつみの柱の方向をめがけて発止はっしと投げつける。猪口はガッチと砕けて夜の嵐に鳴滝なるたきのしぶきが散るようです。
『おや。……ここは、鳴滝なるたきだ。……高雄への道。ああ紅葉もみじ