魚貫ぎょかん)” の例文
谷が愈々いよいよ急になってその中が通れなくなると、右に切れて短い偃松はいまつの間を魚貫ぎょかんして登った。登ってついに広やかな高原のような尾根の上に出た。
ようやく草原を魚貫ぎょかんして、ややたいらな途へ出た時には、武甲山の裏へ廻ったので、今まで高いと思っていた連山は、ことごとく下になり遠く山脈やまなみの彼方に浅間のけむりを見出した時は思わず高いと叫んだ
武甲山に登る (新字新仮名) / 河井酔茗(著)
最後に、どうしても解決のつかないのは、魚貫ぎょかんしたように、鼓楼の方へとつながって裏門まで続いている犬の死骸です。どこの犬で、何のために斬られたかということは、誰にも見当がつかない。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)