“鬱込（ふさぎこ）” の例文
鬱込（ふさぎこ）んでいらっしゃるから、貴方の氏神様もおんなじ、天神様へおまいりをなさいまし、私も一所にッて、とても不可（いけ）ないと思って強請（ねだ）ったら、こうして連れて来てくれたんですもの。
湯島の境内 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
いやそれ処か、親元身受にして前借金を片付ける時、芸者時分の着物は大方抱主（かかえぬし）に引渡してしまった処から、この冬には早速外出の衣裳にも困るわけである。お千代はすっかり鬱込（ふさぎこ）んでしまった。
夏すがた (新字新仮名) ／ 永井荷風(著)
手前も胡坐（あぐら）を掻（か）いて、火をほじりほじり、仔細（しさい）を聞きましても、何も言わずに、恍惚（うっとり）したように鬱込（ふさぎこ）みまして、あの可愛げに掻合（かきあわ）せた美しい襟に、白う、そのふっくらとした顋（あご）を附着（くッつ）けて
朱日記 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
身をねじらして黙って鬱込（ふさぎこ）むところにある。
妾宅 (新字新仮名) ／ 永井荷風(著)
実際鬱込（ふさぎこ）んでいるのはなぜか。
婦系図 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)