ずゐ)” の例文
新字:
「どんな女の人だつて、その人を讃美して歌つたあんな歌をきかされたら、骨のずゐまでとろけてしまふのだけど。」
此の二三日いとのやうな小雨こさめがひツきりなしに降續いて、濕氣しつきは骨のずゐまでも浸潤しんじゆんしたかと思はれるばかりだ、柱も疊も惡く濕氣しつけて、さはるとべと/\する。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
昔は美しくもあつたでせうが、世帶の苦勞が骨のずゐまでみ込んで、薄汚なく女盛りを過した中年女は、平次に取つても決して樂しい相手ではありません。
汝が心は動かずや。若し骨焦がれずゐ燃えずば、汝は男子にあらじ。さきの年我が彼に近づかんとせしとき、汝は實に我を妨げたり。汝は何故にヘブライオス語を學ぶことをいなみしか。
香木かうぼくずゐかを
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
媚態コケットリは、あの子の血にも流れてゐるし、頭にもまじつてゐるし、骨のずゐまで味をつけてゐるのだ。
八五郎は骨のずゐまで女臭くなつたやうな氣がして、神田川へ飛込んで洗はうか——と言つた、途方もない衝動にかられ乍ら、錢形平次の家へ、一目散に驅けて行つたのでした。
我疲勞は甚だしく、我身にはた血なく、我骨には復たずゐなきに似たり。我魂は天上の法廷に招かれ、我骸わがかばねは海底によこたはれるにやあらん。われはわづかにアヌンチヤタと呼びて、又我眼を閉ぢたり。