騎手のりて)” の例文
それは一九〇二年ごろである、初めて書いたのが「海に行く騎手のりて」であつた。これは荒い海と闘ふ漁師たちの生活をアラン島の人々の言葉で書いたもの。
アラン島 (新字新仮名) / 片山広子(著)
実際博士の疳癪玉は、眼医者にしては惜しい持物で、あれを競馬馬にでも持たせる事が出来たら、騎手のりて険呑けんのんな代りに屹度素晴しい勝を得る事が出来る。
敬業は射術ばかりでなく、馬を走らせても消え行くように早く、旧い騎手のりても及ばない程であった。英公はかりを好んだので、あるとき敬業を同道して、森のなかへはいってけものを逐い出させた。
いくら天下の早足はやあしとじまんをする燕作えんさくでも、騎手のりて巽小文治たつみこぶんじ、馬は逸足いっそく御岳みたけ草薙くさなぎ、それを相手に足くらべをしたところで、もとよりおよぶわけはなく、勝とうというのがしのつよい量見りょうけん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しろいスカアフの騎手のりてをよぶな
かれの家では、騎手のりてがいつまでも帰らず、馬ばかりが独り戻って来たのを怪しんで、探しに来てみると右の始末で、彼はようように息をふき返して、再度の怪におびやかされたことを物語った。