飼葉かいば)” の例文
満城、その夜はかがりき、未明の発向というので、腰に兵粮をつけ馬にも飼葉かいばを与え、陣々には少量の門出酒かどでざけも配られて、東雲しののめの空を待っていた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、なおらずに、そのおからだをずたずたに切りきざんで、それをうまの飼葉かいばを入れるおけの中へ投げ入れて、土の中へめておしまいになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
と見れば、わたくしの立っている土手のすぐ下には、古板ふるいたで囲った小屋が二、三軒あって、スエータをきた男が裸馬に飼葉かいばを与えている。そのそばには朝鮮人の女が物を洗っている。
元八まん (新字新仮名) / 永井荷風(著)
牡牛のうめき声、子牛の鳴き声等あいこんじてにぎやかである。いずれもいずれも最後の飼葉かいばとしていま当てがわれた飼桶かいおけをざらざらさも忙しそうに音をさせてねぶっている。主人は雇人やといにん
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「どうせ私は馬の飼葉かいばの世話をせにゃならんから、外へ行こう。」
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
わたくしの胸の中のうまやで頻りに飼葉かいばをあてがわれています。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)