飯能はんのう)” の例文
八王子、所沢、青梅おうめ飯能はんのう、村山とほとんど隣同志でも、八王子は絹の節織ふしおりを主にし、村山はかすりもっぱらにするという工合ぐあいです。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
飯能はんのうと云へば野原のはての、低い丘の蔭にある宿場だとのみ考へてゐたので、其処にさうした見事な渓が流れてゐやうなどゝは夢にも思はなかつたのである。
渓をおもふ (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
それで私はこの菌を武州飯能はんのうの山地で採ったとき「ニギリタケ握り甲斐なき細さかな」と吟じてみた。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
径路こみちきていわず、東京より秩父に入るの大路は数条ありともいうべきか。一つは青梅線の鉄道によりて所沢に至り、それより飯能はんのうを過ぎ、白子より坂石に至るのみちなり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わたくしのようなきたな衣服きものは南部で出来た表に、青梅おうめ飯能はんのうへんで出来ました裏を附けますと一対の夫婦で、表は亭主裏は女房ですから、折目正しく整然ちゃアんとしていれば一対の夫婦でございますが
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
西は飯能はんのう、八王子、東は茨城水海道みつかいだうへんまでも長駆した。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
「この間ねえ、飯能はんのうへ遠足だったンだよ……」
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
それから東京山手線の池袋驛から武藏野を横切つて飯能はんのうに到り、其處から沿うて上つてゆく名栗川の溪流、共に秩父の山から出て、前のはやゝ大きく、後者は極めて小さい流であるが
次の汽車を待つてその線路の終点駅飯能はんのうまで行つた。
渓をおもふ (新字旧仮名) / 若山牧水(著)