風彩ふうさい)” の例文
今先輩大木の家に落ちついて、ゆったりとした大木の風彩ふうさいに接し、情のこもった大木の話を聞けば、矢野は何時の間か、時雨しぐれの空が晴れたような心地にまったく苦悶くもんがなくなる。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
風彩ふうさいからいえば、そのおとこのほうが、上役うわやくよりりっぱでした。頭髪とうはつをきれいにけ、はいているくつもかけるまえに、あわれな細君さいくんねんをいれてみがいたので、ぴかぴかとひかっています。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)