くずお)” の例文
内田君がもぐもぐと口をく度に、沸々と泡立つコップの中で、その迪子がニタニタとくずおれるように嗤うのである。
古傷 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
左右の壁はくずおれ、下のかたの竹窓もくずれて、窓には紅葉しかかりたる蔦がからみて垂れたり。土間には炉を切りて、上のかたには破れ障子を閉めたる一間あり。
人狼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蒼黒くくすんだ古代人形はほぼ一定の律動をもって動く、くねくね、きゅーっぎゅっと踠いて、もくんと伸び上る。くずおれて、そして絶息するようにふーむと唵く。同じ事が何度も繰返される。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)