頑愚がんぐ)” の例文
「逆臣をたすくる匹夫ひっぷ。なんぞ早く降伏を乞わざるか。われは、革新の先鋒たり。時勢はすでに刻々とあらたまるを、汝ら、頑愚がんぐの眼にはまだ見えぬか」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、みんなが呆れてしまって、旧弊も旧弊、頑愚がんぐ度すべからずと笑われていると消息して来た。それがまだ二十三、四の青年だからね。おもしろい。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
頑愚がんぐなどと云う嘲罵ちょうばは、てのひらせて、夏の日の南軒なんけんに、虫眼鏡むしめがねで検査しても了解が出来ん。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
頑愚がんぐだな。それでは勝手にするがいい。俺はもう盗難告訴を書いてやらんから」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この主張のために道也はまた飄然ひょうぜんとして任地を去った。去る時に土地のものは彼をもくして頑愚がんぐだと評し合うたそうである。頑愚と云われたる道也はこの嘲罵ちょうばを背に受けながら飄然として去った。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)