みぞれ)” の例文
秋の天気工合がよかったせいか、円山の原始林の黄葉がまだ八分どおり残っているのに、朝学校へ出がけに、ぱらぱらとみぞれまじりに初雪が降った。
雪三題 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
僕は父のわき火鉢ひばちそばに座って、しばらく黙って居ましたが、この時降りかけて居た空が愈々いよいよ時雨しぐれて来たと見え、ひさしを打つみぞれの音がパラ/\聞えました。父は筆をいてやお此方こちらに向き
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
或朝……みぞれが糸車のような響をたてて、寺院の黒い森へ降りしきっていた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)