霊力れいりょく)” の例文
耶蘇やそほど霊力れいりょくがあるなら、巳代吉の唖は屹度きっとなおる。年来ねんらい眼の前に日々此巳代吉にあらわるゝなぞを見ながら、かなしいかな不信ふしん軽薄けいはくの余には、其謎をき其舌のしばりを解く能力ちからが無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
心は光りの飛ぶごとくにあらゆる道理の中を駈巡かけめぐったが、何をとらえることも出来無かった。ただわずかに人の真心——まことというものの一切に超越ちょうえつして霊力れいりょくあるものということを思い得て
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)