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雁六
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がんろく
小頭の
雁六が、ピューッと
口笛を一つ
吹くと、上から、下から
伊部熊蔵をはじめすべての者のかげが、ワラワラとそこへ
駈けあつまった。
というと
鉄砲組の中から五、六人、
足軽十四、五人、
山掘夫四、五人——
小頭の
雁六も一しょについて、まだ
朝露のふかい
谷底へ
降りていった。
ジッと見おろしていた
伊部熊蔵が、こう
叫んで待ちうけていると、そこへ
小頭の
雁六、どうしたのか
真ッ
青になって、
息をあえぎながら
登ってきた。