障碍物しょうがいぶつ)” の例文
そこは根崎海岸のドライブ道で、道幅もかなり広いし、それに障碍物しょうがいぶつがないので、運転手はいい気もちになってスピードを出していた。
焦土に残る怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
池の面の波紋でも実験されるように、波の長さが障碍物しょうがいぶつの大きさに対して割合に小さいほど、横に散らされる波のエネルギーの割合が増す。
塵埃と光 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
無数の障碍物しょうがいぶつを持ちながら、その障碍物を巧みにけて、互いに呼び合うことによって、一定の間隔をいつも保ち、疾風のように走って行く。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は障碍物しょうがいぶつ競走をするような形で、かくつめたい石門の下を這って通ると、其後そのあとからお杉の痩せた身体が蛇のようにするすると抜け出して来た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もう蟹江川かにえがわ筏川いかだがわ鍋田川なべたがわ——そして木曾川きそがわ口へかけてまで、数里の海岸線は、防柵ぼうさくいまわし、塹壕ざんごうをほり、障碍物しょうがいぶつをおき、全隊、汗みどろに、働いている。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたたかい気持ってものは、窓とか、壁とか、そんな障碍物しょうがいぶつを越えて、相手の心に通じるものだと思うわ。
錠がおりてるのかな……(はいって、肘かけ椅子を元の場所におく)障碍物しょうがいぶつ競走だ。
「みんなで障碍物しょうがいぶつ競争をやろうと思ったんです。」
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして道の障碍物しょうがいぶつや、火の柴を除いて、部落の中の兄たちを、火中から救い出したのである。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と見た城兵の顔が、土塀、やぐらたて、さまざまな障碍物しょうがいぶつの蔭などから覗いている。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)