陶工とうこう)” の例文
佐賀の城下で、陶工とうこう久米一くめいちが断罪となる日、彼の持窯もちがま——黒髪山くろかみやま御用窯ごようがまも破壊された。破壊された中から生れた物があった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このさかずきのことがわすれられた時分じぶんかれは、あるなにかの書物しょもつで、利助りすけという、あまりひとられなかった陶工とうこう名人めいじんが、むかし京都きょうとにあったということをみました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
同じ火の芸術の人で陶工とうこう愚斎ぐさいは、自分の作品をかまから取出す、火のための出来損じがもとより出来る、それは一々取ってはげ、取っては抛げ、大地へたたきつけて微塵みじんにしたと聞いています。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
黒髪山くろかみやまと谷川との間の狭い盆地に、陶工とうこう久米一くめいち細工邸さいくていがあった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近ごろ陶工とうこう久米一くめいちの生活は、がらりと打って変ってしまった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)