“陳彩”の読み方と例文
読み方割合
ちんさい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日華洋行にっかようこうの主人陳彩ちんさいは、机に背広の両肘りょうひじもたせて、火の消えた葉巻はまきくわえたまま、今日もうずたかい商用書類に、繁忙な眼をさらしていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
くだり終列車の笛が、星月夜の空にのぼった時、改札口を出た陳彩ちんさいは、たった一人跡に残って、二つ折のかばんを抱えたまま、寂しい構内を眺めまわした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
受話器を置いた陳彩ちんさいは、まるで放心したように、しばらくは黙然もくねんと坐っていた。が、やがて置き時計の針を見ると、半ば機械的にベルのボタンを押した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)