阪地かみがた)” の例文
大問屋、大町人は阪地かみがたに關係が深いので、店の制度も奧向きの方も、阪地の富豪とさう違つてはゐなかつた。
下町娘 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
阪地かみがたおんなはなぜだろう、生きてるのか、死んでるのか、血というものがあるのか知らん、と近所に居るのも可厭いやなくらい、ひどく、さました事があったんだから……
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お金ちゃんにきくと、アンポンタンが知る前に阪地かみがたへいった人なのだそうだ、曙山しょざんさんていうのだといった。
阪地かみがたは風流だね、洒落に芸者に出すなんざ、悟ったもんですぜ、根こぎで手活ていけにした花を、人助けのため拝ませる、という寸法だろう。私なんぞも、おかげで土産にありついたという訳だ。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう三十年近くも前にならうか「あなたとわたくしと兄妹になつて阪地かみがたへ行きますよ」
八歳の時の憤激 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
こゝは阪地かみがた自慢じまんする(……はしつわたりけり)のおもむきがあるのであるが、講釋かうしやく芝居しばゐで、いづれも御存ごぞんじの閻魔堂橋えんまだうばしから、娑婆しやば引返ひきかへすのが三途さんづまよつたことになつて——面白おもしろい……いや
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)