“闇屋(やみや)” の例文
「よせよ。そんな気が変になるみたいな話は。それよりも、どこかで、一本十円の闇屋(やみや)の飴(あめ)をおごってくれよ。その方がありがたい」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この前の戦争で狡(ずる)い奴らに先を越されて損をしたが、今度はチャンと要領を覚えたから、今度戦争になってみろ、買(か)い溜(だ)め、売り惜しみ、闇屋(やみや)
武者ぶるい論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
そうして、ふっと私は、闇屋(やみや)になろうかしらと思いました。しかし、闇屋になって一万円もうけた時のことを考えたら、すぐトカトントンが聞えて来ました
トカトントン (新字新仮名) / 太宰治(著)
『お前達は、闇屋(やみや)だろう、棺を下ろせ、棺の中は、米にちがいない』
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母と姉とが、このごろ野菜の闇屋(やみや)になって暮していた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
細君がそれを全部、闇屋(やみや)に売って、老母や子供のよろこぶようなものを買う。ケチでは無いのだ。夫も妻も、家庭をたのしくするために、全力を尽しているのだ。
家庭の幸福 (新字新仮名) / 太宰治(著)
醜(しこ)の御楯(みたて)といでたつ我は。大君のへにこそ死なめかへりみはせじ。若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋(やみや)となる。ももとせの命ねがはじいつの日か御楯とゆかん君とちぎりて。
堕落論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
だが、折角ぎっしり詰めこんだものを、他のトランクに移すのは面倒(めんどう)だ、今夜はこのままにして、後は明日のことにしようと、闇屋(やみや)の旦那はこのところ聊(いささ)か過労の体(てい)にて、寝椅子の上へ身体をのせた。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)