闇中くらがり)” の例文
ややありて二人三人みたり跫音あしおと小刻こきざみに近付きつ、「私だよ。」というはお丹の声、「おやどうしなすった。」お丹は闇中くらがりすかし見て
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は闇中くらがりでも多少は物が見えるらしい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
紙片かみきれは寸断し去ってたもとに葬り、勝手もと退さがらんと歩みきたる、片隅の闇中くらがりより、黒きもの、ぬっとづ。お秀「きゃっ!」と飛退とびすされば、とんきょう声で「ばあっ。」と驚かす。からぬ洒落しゃれなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)