閨中けいちゅう)” の例文
公儀の八釜やかましい憂世うきよを三分五厘に洒落しゃれ飛ばし、かみは国政の不満から、しも閨中けいちゅう悶々事もんもんじに到るまで、他愛もなく笑い散らして死中に活あり、活中死あり、枯木に花を咲かせ
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そしてこの少女の、容色に魅せられた敵将を、閨中けいちゅうでたった一突きに刺し殺したのです。美しい少女は、自分の貞操を犠牲にして、幾万の同胞の命と貞操とを救ったのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
色々と閨中けいちゅうのみそかごとまでを語り出したので、もう疑うことができなくなったとある。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは当年行われた閨中けいちゅう隠語いんごであった。金はひどく驚いて、舟を返して近づいた。それはほんとうの庚娘であった。婢が手を引いてこちらの舟へ来た。二人は抱きあって泣いた。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
しかも粋な辰巳の姐さん、稼げ稼げと云わないばかりか、向うで酒肴しゅこうを持って来る、たとえゆうれえでもなんでも、こういうのをのがす手はない、まして閨中けいちゅうのあの情のこまやかさ。
ゆうれい貸屋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)