間尺ましゃく)” の例文
「もう三十八で、ヘエ、伊勢屋の旦那より一つ年上ですよ。来年は私と世帯を持つ約束で、こんな事で人殺しの疑いなんか受けちゃ間尺ましゃくに合いません」
「不平は言いませんが、考えて見ると矢張り間尺ましゃくに合いませんな。すべて高等小学出と同待遇ですからね」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一鼓三足いっこさんそくといって、歩度ほど間尺ましゃくがきまっているもんだそうですが、お氷献上の駕籠ゆきは、添役そえやくが袂時計を見ながら、ホイと掛声をかけると、サッサ、サッサと四歩でる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
強制徴発をされては間尺ましゃくに合わないと家族の食うだけの麦しか蒔かない、やっと食うだけのジャガイモしか植えない。麻なぞ作って骨折るだけ損だと麻畑は荒廃にまかされた。
……しかしただそれだけで、この大蔵が、飼いごろしにされて間尺ましゃくに合うものじゃあねえ
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもちゃにされるのが不愉快じゃないが、それですまされたのでは間尺ましゃくに合わない。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
くなり次第家を遁出して電車の車掌になる。恁麽こんな間尺ましゃくに合わない事はない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「行こう/\。そんなことを聞かされて手間を取るんじゃ間尺ましゃくに合わない」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「貪られたり馬鹿にされたりしたんじゃ間尺ましゃくに合わないね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)