門鑑もんかん)” の例文
「あれほどのお屋敷には厳重な見張り見廻りもあります。表裏の門は門鑑もんかんがなければ、ちょっとも通すことではありません」
ところが、あに計らんやです、お蝶はその頃、宗門方の若侍が役宅から出て行くように、通用口の門番に門鑑もんかんを示し、山屋敷の表からサッサとそこを立ち去っていたのであります。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門鑑もんかん
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
間違ひもなくその門鑑もんかんが惡用されてゐると知つても、八五郎の手落ちにしたくなかつたのです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
迷子札まいごふだのような門鑑もんかん番士ばんしにしめして、その夜、しもにあったキリギリスみたいに、ビッコをひいた蛾次郎がじろうが、よろよろと躑躅つつじさき郭内くるわないにあるお長屋ながやへ帰ってきたのは、もうだいぶな夜更よふけであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それと無く樣子を見て居ると、紫御殿の出入には、その頃の役所などの出入に使つた、小判形の門鑑もんかんが要るらしく、空手からてで入つては飛んだ耻を掻かなければならないことに氣が付いたのです。
門鑑もんかん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)