長高たけたか)” の例文
ほがらかに秋の気澄みて、空の色、雲の布置ただずまひにほはしう、金色きんしよくの日影は豊に快晴を飾れる南受みなみうけの縁障子をすかして、さはやかなる肌寒はださむとこ長高たけたかせたる貫一はよこたはれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚き見れば長高たけたかき老紳士の目尻もあやしく、満枝の色香いろかに惑ひて、これは失敬、意外の麁相そそうをせるなりけり。彼は猶懲なほこりずまにこの目覚めざまし美形びけいの同伴をさへしばら目送もくそうせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
紳士は年歯としのころ二十六七なるべく、長高たけたかく、好き程に肥えて、色は玉のやうなるにほほあたりには薄紅うすくれなゐを帯びて、額厚く、口大きく、あぎとは左右にはびこりて、面積の広き顔はやや正方形をせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)