長尻ながっちり)” の例文
したがって一番よく出入した訳であったが、私という男は悪い癖で、カフェに入るとどうも長尻ながっちりになる。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
長尻ながっちりの男だからドコへ行っても長かったが、何処でも俥を待たして置いたから、緑雨の来ているのは伴待ともまちや玄関や勝手で長々とそべってる緑雨の車夫で直ぐ解った。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ヤッサモッサ捏返こねかえしている所へ生憎あやにくな来客、しかも名打なうて長尻ながっちりで、アノ只今ただいまから団子坂へ参ろうと存じて、という言葉にまで力瘤ちからこぶを入れて見ても、まや薬ほどもかず
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お一人で、お留守番ばかりしていらしッちゃおさむしいでしょう。わたくしなんぞも、女中はいませんし、そう一日針ばかりも持っていられませんから、時々人様のところへお邪魔に出掛でかけると、つい長尻ながっちり
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)