銀砂子ぎんすなご)” の例文
置忘れた紫の女扇子おうぎ銀砂子ぎんすなごはしに、「せい」としたのを見て、ぞっとした時さえ、ただはるかにその人の面影をしのんだばかりであったのに。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蟋蟀こほろぎが鳴く夏の青空あをぞらのもと、神、佛蘭西フランスうへに星のさかづきをそそぐ。風は脣に夏のあぢはひを傳ふ。銀砂子ぎんすなごひかり凉しき空の爲、われは盃をあげむとす。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
黒髪が人並よりぐっと黒いので、まれにまじっているわずかな白髪が、銀砂子ぎんすなごのように奇麗きれいに光る。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
両刀はばさんでいるが、どこか華奢きゃしゃな風俗、銀砂子ぎんすなご扇子せんすを半開きにして口へ当て
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ツーイと銀砂子ぎんすなごの空を流れる、一つ星。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)